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渡辺隆次展 at 新潟

2013 年 10 月 29 日 火曜日

 

新潟で開催されている二つの渡辺隆次さんの展覧会に出かけました。
新潟絵屋の主催する企画です。詳しくはこちらをご覧ください →  http://niigata-eya.jp/evint/ev-asyl.html 

 

まず、妙光寺。

妙光寺を訪れるのは初めてではありませんでしたし、
渡辺さんの作品もよく知っているつもりでしたが、
実際に中に入って、まず出迎えてくれた衝立の鮮やかな存在感に驚きました。
広々とした玄関によく映えます。
そして、お座敷に幾重にも置かれた屏風の色色にまねかれるように奥へ踏みいると
そこには次の間をもつらぬき広げられた墨絵の絵巻!見事でした。

わたしたちが訪れた日は、
日蓮聖人のご命日の法要『お会式(おえしき)』にあたり、
渡辺さんの特別なお話(聞き手:小川英爾ご住職)の場に参加させていただきました。

不意に現われ消えていく
「いま、ここで、目にしているものを二度と目に入れることはできないかもしれない」
きのこを中心とした八ヶ岳南麓の動植物を、日々描きつづける渡辺さん。
いのちの記録を「使命」としておられる切実さがつたわってきました。
菌類の生と死をつなぐはたらきとともに、様々なお話を伺いながら、
「絵」もまた、時を越えた「つなぎめ」であるのを感じました。

伝統のあるお寺であり、厳かな祈りの場である妙光寺は、同時に新しいものにも開かれているようです。
これから未来に受け継がれて、いずれ古きよきものとなるものをきちんと見極めておられる小川ご住職のまなざしもうかがえる貴重なひとときでした。

妙光寺の展示の様子 →  http://niigataeya.exblog.jp/21231225/

*フィリア美術館所蔵の作品も5点出展しています。 

 

そして、北書店。
展示点数は少ないですが、新しく強い感動がありました。

展示コーナーは、本棚の並んだお店の奥。
北書店は、絵も本も椅子もあって居心地の良い本屋さんです。
店主の顔が見える面白い本がいっぱい並んでいます。
もちろん渡辺さんの「山里に描き暮らす」(みすず書房)も。
この本には、新潟のことも八ヶ岳のこともフィリア美術館のことも出てきます。

北書店の展示の様子 → http://niigataeya.exblog.jp/21231506/

 

双方ともに見応えのある展示です。
ぜひお出かけください。

 

『聖書ものがたり絵本』全四巻完結記念ー小林豊原画展・聖書の世界を旅する

2013 年 9 月 5 日 木曜日

 

昨年2012年夏に当館で開催した企画展『風をえがく 小林豊展 絵本原画と日本画』で、お世話になった小林豊さんの、現在開催中の展覧会を拝見してきました。

『聖書ものがたり絵本』全四巻完結記念―小林豊原画展・聖書の世界を旅する です。

 

 

『聖書ものがたり絵本』全四巻完結記念ー小林豊原画展・聖書の世界を旅する

『聖書ものがたり絵本』全四巻完結記念ー小林豊原画展・聖書の世界を旅する

 

 

『聖書ものがたり絵本』(いのちのことば社 武井博/文 小林豊/画)シリーズ全四巻は、2010年に最初の作品が出版され、今年2013年に完結しました。
『聖書』が、わかりやく物語られている絵本です。

小林豊さんは、現地を取材して描いたそうですが、
天地創造の『無』の状態の表現は苦労されたのでは・・・。
しかし、『世界』があらわれる前の色あいと筆の動き、とても美しいです。
ぜひ原画をご覧ください!

 


 

会期 : 9月2日(月)~9月14日(土)

開場時間 : AM11:00-PM7:00 (日曜日のみ正午より)

会場 : tギャラリー 千代田区神田駿河台2-1 OCCビル5階

最寄駅 : 御茶ノ水駅

連絡先 : いのちのことば社 0353416911

 


 

文 / 武井 博(たけい・ひろし)
1936年生まれ。NHKに入局後、子ども番組、幼児教育番組の企画・演出に携わる。代表作は、「ひょっこりひょうたん島」、「おーい!はに丸」、児童文学作家として、『はらぺこプンタ』(講談社)、『いたちのコロッペ』(あかね書房)などの童話を出版。

 


 

画 / 小林 豊(こばやし・ゆたか)
日本画家。
1946年生まれ。日本画家。1979年、日展初出品で入選。1983年、「上野の森美術館」特別優秀賞受賞。 1970年代初めから80年代にかけ、中東・アジアをたびたび訪れる。その折りの体験をもとにした絵本で多くの読者を魅了している。 著書に、『せかいいちうつくしいぼくの村』(ポプラ社)、『ぼくは弟とあるいた』(岩崎書店)、『タタはさばくのロバ』(童心社)、『人にはどれだけの土地がいるか』『火は早めに消さないと』(フォレストブックス)ほか多数。

 


 

宇梶静江展 at新潟

2013 年 6 月 4 日 火曜日

 

新潟絵屋で開催されている『宇梶静江展』を拝見しに、新潟へ出かけました。

 


 

『宇梶静江展』
6月2日~10日 午前11時~午後6時(最終日は午後5時)
会場:新潟絵屋(新潟市中央区上大川前通10番町1864 TEL&FAX 0252226888)

 

昨年の水と土の芸術祭に展示された、宇梶静江さんのフクロウの刺繍はすばらしかった。特に展示室入口の掛け軸の、もりあがった糸が、フクロウの体を包む羽そのものので迫力があった。
宇梶さんの古布絵(こふえ)※による絵本『シマフクロウとサケ』では、カムイ(神)であるフクロウが柄杓で海水を干上がらし、満たす。生きているのは森の野生動物であり、心に壮大な神話や物語や世界観を生み出す精神生物でもあるフクロウだ。木の根や幹や枝が変じたような力強い糸の表情に、宇梶さんが復権に尽力してきたアイヌ文化が、ヤマトが北に追い、抑圧してきた森の文化の血を引いていることを強く感じた。
80歳になるその宇梶さんに、無謀にも新作の個展をお願いした。仕上がってきた刺繍の翼の生命感と気品に息をのんだ。その芸術家魂の底から北の森や海や川の、それらと共に生きてきた人(アイヌ)の心の声が聞こえてくる。(大倉 宏)
※古布絵:アイヌの伝統刺繍をベースに古布と糸で作られた作品。

新潟絵屋公式サイトより


 

まず、市内の本屋さん・北書店で開かれたオープニング・イベント『宇梶静江トーク アイヌ(人間)を語る』に参加しました。
80才を迎えられた宇梶さん。
これまでの歩みとこれからの夢を熱く語られる姿は、以前お会いした時と変わらずに若々しく、
美しいものが大好きで、一生懸命に小さな人や弱い人の力になろうとしておられる様子が伝わってきました。

 

宇梶静江『神さまの鳥 カムイチカプ』 フィリア美術館所蔵

宇梶静江『神さまの鳥 カムイチカプ』
フィリア美術館所蔵

 

絵屋に飾られた宇梶さんの新しい作品は、全部フクロウがモチーフです。

展示の様子→新潟絵屋のブログ

ぜひご覧ください。

 


 

宇梶静江(うかじ しずえ)
■ 1933年北海道浦河郡アイヌの家庭に生まれる。20歳で中学を卒業後東京に行き苦学。結婚後は東京に来るアイヌのウタリの面倒を見ながら2児を育てる。 72年朝日新聞にアイヌの連帯を呼びかける投書をし反響を呼ぶ。アイヌの権利獲得の活動に挺身する。60歳をすぎてアイヌ刺繍を学び直し、和服ちと刺繍に よる古布絵でアイヌの精神世界を描く作品制作を始める。古布絵による絵本に『シマフクロウとサケ』『セミ神さまのお告げ』『トーキナ・ト』(いずれも福音 館書店)。2011年吉川英治文化賞受賞。水と土の芸術祭2012(新潟市)に参加。

 


 

宇梶静江絵本原画展示
2013年 6月3日~9日 午前10時~午後8時
(6月8日 午後12時~ 6月9日 午後12時~3時)
会場:北書店(新潟市中央区医学町通2番町10-1ダイアパレス医学町101 TEL&FAX0252017466)

未刊行の絵本原画1点を展示します。
なお6月13~30日に新潟絵屋での展示作品の一部を北書店でも展示します。

 


 

  
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