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森のきのこ展 −小林路子・美しい菌類画の世界−

森のきのこ展 −小林路子・美しい菌類画の世界−

2011年 7月16日(土)〜9月25日(日)

ベニテングタケ小林路子さんの「きのこ」をモチーフにした作品を展示いたします。

小林さんは、画材(主にアクリル絵具)を携えて「きのこ」に会いに方々へ出かけ、「きのこ」をふくめた周囲の風景をすっかり写しとるように描きだしています。
細密な筆致で描かれた美しい作品は、「きのこ」が成育する環境がよく理解できる構図になっていて、学術的な側面からも高い評価を得ています。 また、内外からも注目を集め、イギリスのキュー植物園*に作品がコレクションされています。

野生の「きのこ」に熱烈に魅せられ、あまりの傾倒ぶりに「仙人」の愛称で呼ばれている「きのこ画家」小林さんの繊細で迫力ある作品をお楽しみください。

企画展の開幕にあたって、小林路子さんによる作品紹介と茶話会を7月16日(土)午後2時から開催します。ささやかなお茶菓子をふるまいます。お気軽にご参加くださいませ。(入館料のみでご参加いただけます)

Royal Botanic Gardens, Kew. イギリスの首都ロンドン南西部のキューにある王立植物園。1759年に宮殿併設の庭園として始まり、今では世界で最も有名な植物園として膨大な資料を有している。2003年にユネスコ世界遺産に登録された。



作者からのメッセージ

今から20数年前、きのこは今よりマイナーな存在でした。きのこの研究者や愛好家はいても、きのこ絵描きはいませんでした。
私はその時、普通の絵描きでしたが(今でも普通の絵描きのつもりですが)、ふとした出会いからきのこ絵描きになってしまったのです。

きのこの魅力は、なんといってもその不思議さです。多くのきのこが、今ここにいて、明日はもういない。けれどもかぼそい菌糸は、この大自然をやわらかいネットのように包みこみ、生態系を根本から支えているのです。

菌類の花にあたるきのこはどれも美しい。その美しさの奥にある、自然の強い生命力を表現したい、と願ってきのこを描いてきました。それが絵から皆様へ、少しでも伝われば幸いです。

小林路子


『きのこの絵本』(2008年 ハッピーオウル社刊)より
『きのこの絵本』(2008年 ハッピーオウル社刊)より
 

小林路子(こばやしみちこ)プロフィール

画家。東京生まれ。1986年まで自由美術協会会員。1986年にエッセイ集『キノコの不思議』(森毅編 光文社)で初めてきのこの挿絵を描いて以来、きのこに取り憑かれ、以降きのこを中心にした創作活動を続けている。これまでに描いたきのこの絵は約800点。繊細さと迫力を合わせ持つその筆致は、菌類画の新しい領域をひらいたものとして評価が高い。イギリス王立キュー植物園に合計100点のきのこの絵を寄贈した。きのこ採りと制作に明け暮れる清貧の生活が続き、“仙人”の綽名が定着した。著書に絵本『森のきのこ』(岩崎書店)、『きのこ−小林路子画集』(山と渓谷社)、『森のきのこ採り』(白日社)がある。

2008年に国立科学博物館で開催された特別展『菌類のふしぎ-きのことカビと仲間たち-』にも出品された。

 
 

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